明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

ラ・アーグを訪れました FukushiManche, Non Merci! フクシマンシェ!お断りだ フランス訪問の旅その3

守田です(20260709 00:30 パリ時間) 明日に向けて(2608)

ラ・アーグ近くの海岸で。6キロ先に伸びたパイプから放射能汚染物質が垂れ流されている

● ラ・アーグにある再処理工場群

5日、CRILAN会長のアンドレ・ジャックさん、マリー=セシル・ブロックさんとコタンタン半島をめぐりました。

まず最初に訪れたのはラ・アーグ再処理工場でした。「工場」というと単体のものをイメージしてしまいますが、正確には工場群です。再処理工場も幾つかあります。
かなリ広大な敷地を持っていて、その中にさまざまな施設が並んでいます。オラノ社がホームページに載せている上空からの写真をご紹介ます。

ラ・アーグ空撮写真 オラノHPから

フランスの核燃料の再処理は、もともとプルトニウム抽出による核爆弾製造のために始まりました。
最初に建設されたのはUP1、UPは "Usine de Production"(生産工場) の略で、フランス南部のマルクールに建てられました。
ここでプルトニウムを生産したフランスが、初の核実験に成功したのは1960年2月13日でした。

その後、1966年に次の工場UP2がラ・アーグに建てられました。軍事的な要素を持っていましたが、フランスが核燃料サイクルに取り組みはじめたため、民生用の側面もありました。
フランスはその後に原発を増やしていきましたが、当初のガス炉から軽水炉へと転換。そのためUP2もそれへの対応が必要になりました。

民事用の軽水炉では核燃料を軍事用より長く燃やします。「燃焼度」が高くなる。そうすると放射線量も熱量も高くなるため、再処理に進む前に「前処理」をしないといけない。
そのため1976年にHAOという設備が加えられました。燃料棒をせん断し、強力な酸で溶かす装置でした。このころからUP2は年間処理量を意味する400という数字がつけられました。
かくしてフランスはUP2‐400を軍民両用施設として使ってきました。ここで再処理された使用済み核燃料の中には日本製のものも含まれています。

さらにフランスは1994年、同じラ・アーグに新たにUP2‐800を登場させました。400と並んで建てられましたが、倍の容量を誇っていました。
同時に外国の使用済み核燃料の処理のためにUP3を建設。日本やドイツから多額の投資を呼び込むことによってでした。
UP2-400は2003年に使用が中止されたため、ラ・アーグではいま、UP2-800とUP3が稼働しています。


● UP3の前を通り過ぎて

さてラ・アーグに着いた私たちは、まずは最も東に赴き、そこからゆっくりと周りをめぐりました。オラノ社の正面入り口の前を通り、近くにある駐車場などから工場を拝見。

 


そうして見えてきたのはUP3とUP2ー800でした。UP2‐800でも日本の使用済み核燃料の再処理は行われましたが、UP3となるともっぱら日本のものが再処理されてきている。

興奮しました!「これかあ。ここで日本のプルトニウムを作ってきたのか」と思わず口に出してしまいました。
その場で車から降りて写真を撮りたかったのですが、アンドレさん曰く「こうして動いている間は監視カメラで診ているだけだけど、車を降りたら警備が飛んでくる」とのこと。

大きな丸い煙突があり、ブルーとグレーに塗られているのがUP3 
UP2ー800も並んでいるがそれがどれだかはっきりと判別できなかった。

再処理工場にはさまざまな問題がありますが、そのうちの一つは原発などと比べて桁違いの環境汚染をもたらすこと。
核分裂によって生じた「死の灰」が使用済み核燃料のペレットの中に封印されているのに、そこからプルトニウムを取り出すために、せん断し、溶かすことで封印が解けてしまう。

それでどれだけの死の灰が出てくるのか。アンドレさんが教えてくれました。「福島第一原子力発電所のトリチウム年間放出許容量は22テラベクレルであるのに対し、ラ・ハグは英仏海峡への年間18,500テラベクレルの放出許可を得ている。840倍だ」「またラ・アーグは、フラマンヴィル原子炉の2万倍の希少放射性ガス(クリプトン85を含む)および500倍のトリチウムガスを排出することが許可されている」。とにかくもう無茶苦茶だとアンドレさん

そしてそのむちゃくちゃに出されてしまっている放射能の大きな割合を日本の使用済み核燃料が担っているのです。それがここの海を汚している。責任を感じました。
さらにラ・アーグの周りを走りました。なんとまわりの多くは農地。けっこうたくさん牛が放牧されている。その地の工場で桁違いの汚染が起き続けている。


● FukushiManche, Non Merci! フクシマンシェ!お断りだ

さてラ・アーグの先の海岸線に出ました。ちょっと崖のようになっているところですが、アンドレさん、マリーさんがひょこひょうこと下りだす。
「ここから汚染水が流されているので案内します」とのこと。けっこう下っていきましたが、ここらはハイキングコースになっていて、けっこうたくさんのハイカーが通っていく。

ここから海岸までくだっていった。途中にハイキングコースあり

そのコースの一部に海にむかって線路が伸びているところがありました。監視ボートをすぐに海に投入するためのものだそうですが、ちょうどその辺の地下にパイプがあるという。

線路に沿って警戒ボート?を海に投じることができる

それがなんと沖合6キロまで続いていて、その先でラ・アーグから放射能汚染水が海にまき散らされているのです。相当にひどい!

そのパイプの上あたりにボート投入のための線路があるわけですが。そこでアンドレさんが抱えてきたバナーをするすると広げました。そこにこう書いてある。
”FukushiManche, Non Merci!"

マンシェとはラ・アーグやフラマンビル原発のあるこの地域の県名です。「フクシマンシェ!お断りだ」といったところでしょうか。
STOP「AVAL du FUTUR」「EPR」 とも書いてある。「下流の未来」とでも名付けられたマカロン政権の強引なラ・アーグ拡大などの計画やEPR=欧州新型炉建設を止めろ!の意味です。

このバナーを一緒にここで持たせてもらえたのは意義深いことでした。だってフクシマとともにマンシェの汚染を許さないことも私たち日本から来たものにとっての重要課題であるからです。


ラ・アーグについてはかなりたくさんのことを学ぶことができたので帰国後、もっとゆっくり、詳しい報告をだします。今はともあれ旅の空からラ・アーグでみてきたリアリティを伝えておきます。

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